詳細なネタバレを含む可能性があります
- 2024/01/26 14:41:04 HO1でプレイ。素材付きとは言え安価ではないことやこのシナリオのKPをするつもりがないといった理由からシナリオは購入していない。以下、HOの内容やシナリオの内容に深く触れたレビューとなっているため注意。 まず第一に、複雑なエンド分岐によって9つもエンドが用意されているのに、HO1とHO2の離別エンドがないのが残念だった。「島に残る/島を出る」に関して、HO1とHO2が別々の選択をすることはシナリオ上想定されておらず、チェイスも2人で挑むことが前提の難易度となっている。※自分がプレイした際は、KPの厚意により、難易度調整を加えたHO1単独チェイスへ改変していただいた。 また、HO1とHO2のHOの内容も個人的には噛み合いが良くないと感じる。APP18の自殺志願者は、自分の容姿に惹かれて身勝手に救命してきたHO2に対し、たった数日で心を開くだろうか。 傷付いた大人がのどかな島で15歳の少年/少女との交流によって(束の間の)精神的な安寧を得るというシナリオの想定も楽観的。そういった構造によって間接的に子供によるケアを肯定していると感じられてあまり愉快ではなかった。 さらに、注意事項として記載されている「NPCから過激な発言や暴言等が行われる展開」についてだが、あまり必要性を感じなかった。あまりにも理不尽なうえに、対話が不可能。黒幕でもないのに対話ができないNPCとのシーンがあるのは苦痛。 総じて、扱っているセンシティブな要素に対し、シナリオ側の想定が甘い。人の心の機微に対してご都合主義と言える。 このシナリオがエモーショナルでやさしいシナリオと評されているのは甚だ疑問だ。 有名なシナリオで秀逸なタイトルやトレーラーの雰囲気などから心惹かれる人も多いだろうが(自分もそうだった)、万人向けではない。
- 2024/01/31 1:45:53 HO1としてシナリオを遊びました。シナリオは購入しましたが、KPの経験はありません。バージョンアップによってシナリオ本文は読みやすく改良されています。また、各HOごとの事前開示情報やKP向けの補足も丁寧に追加されており、回しやすくなったと思います。 <おすすめ>■PC同士の交流がメインとなるシナリオであり、シナリオ側から片方のHOから片方のHOに向けて恋愛感情とも解釈できる好意的な感情を指定されます。普段うちよそシナリオを好む人におすすめです ■HO1には確定で自殺志願者及び自殺を志願するに至る任意の過去が付与されます。重たい過去を背負った大人と無垢な子供というペアに惹かれる人にはおすすめです。 <注意点>■特定の場面で、PC同士が非協力的な関係になった場合の想定がシナリオ側にはありません。KP側で事前に想定しておくか、協力的な関係を築くことが前提であることをPL側に通知したほうが円滑にセッションをおこなえます ■シナリオ側からHO2からHO1への好意は指定されるものの、HO1からHO2に友好的な感情を向けるための情報はシナリオ側からは提供されません。そのため、HO1が自発的に歩み寄らない限り、協力的な関係を築くことが難しく、またHO2も孤独感を感じやすい仕様になっています。HO1のCS作成の際、極度に排他的な設定付けについては注意が必要です。 ■特定NPCからHO1へ攻撃的な言動がとられるシーンがありますが、シナリオ原文ほどに攻撃的である必要性は薄いです。PLの性格によってはセリフを多少柔らかく言い換えてもいいかもしれません。 <補足>シナリオの全体的なトーンはうちよそ向けのそれとかなり近いです。『互いのPCに関心を持って遊ぶこと』『互いのPCと協力な関係を築くこと』が前提となることをよくよく共有して遊ぶと楽しいセッションにできるでしょう。
- 2024/01/31 14:22:38 上述でシナリオ未読の方が「HO1とHO2の離別エンドがない」とコメントを残しているが、HO1とHO2の離別エンドは存在する。(END3,END9) PLで通過後アップデート前から10回以上KPとして回している。素材は画像、音楽、マップ、分岐チャートなどあらゆる面で豊富であり、シナリオ本文も非常に読みやすくよく整理された作りになっている。改変の必要は殆ど必要無い。NPCの人数が多いが基本となるセリフ例や考え方・行動方針も分かりやすく記載があり非常に回しやすいシナリオである。価格は1000円と安くはないがクオリティの高さから十分妥当であると感じた。 【プレイング・キーパリングの注意点】シナリオのクリア条件は「探索者二人にとってのベストエンドを迎えること」です。と概要に記載の通り、その意識でKP、PLが全員が最後まで居なければいけない。HO1は傷つき閉ざした心に向き合うまで、HO2は自身の存在をよく理解し判断できるようになるまで、PLPC同志が完全に納得するまで共に時間を過ごす必要がある。KPはそのためのRP時間を潤沢に用意し、「ベストエンドに辿り着くまでどれだけ時間をかけてもいい」という気概が必要である。そうしなければ、PLの心に引っ掛かりや傷が残ってしまうエンドに辿り着く可能性がある。PLが途中で諦めてしまったり、自分本位であったり、KPがPCに偏った処理をしたり、改変して進めると、コミュニケ―ション不足となる可能性が高くクリア条件に満たなくなってしまうため注意をして欲しい。
- 2024/04/21 22:06:52 HO1でプレイしました。シナリオは確認しておらず、セッションも数年前に行ったため曖昧な部分があります。ご了承ください。 感想としては「なぜクトゥルフでこれをやったのか」「自殺というテーマへの取り扱い方が童話レベルなら先に言っておいてくれ」です。 HO1でまず事前秘匿を確認したとき、「希死念慮」「APP18」が目につくかと思います。ここまで条件が揃っていて、パンの子ら、パンの大神が全く登場しないとは思いませんでした。つまり、この希死念慮に対してシナリオ側から解決の手立ては何も発生しません。HO1の抱える問題は何も解決しません。登場する神話生物に間違ったあたりをつけてしまったことはPLとしてのミスですが、とはいえ、HO2と会話するだけでその問題を解消しろというのは正直無理があります。 ましてや、辺境の長閑な島での生活で癒されることも難しいです。「APP18」という条件がわざわざ指定されていることから、容姿をコンプレックスした場合はとにかく島民の容姿を褒めそやす言葉が苦痛になります。しかも、HO1はHO2の友人/恋愛関係すら破壊する元凶になります。これでHO2との交友を深めろと言われても、そこまで図太い人間は自殺を考えないのでは?という疑問ばかりが浮かびます。 もちろん、HO2と互いの境遇や感じていたことは、時間をかけてしっかりと話し合いました。ただ、HO2も「決死の覚悟を無為にさせてしまった」「しかも自分はHO1の容姿を理由にこんな行動に出て、あまつさえ苦しい思いをさせてしまった」と非常に落ち込んでしまい、どうにか自殺をやめる方向に持っていこうとしても収拾がつかなくなりました。最終的には協力してED分岐までは辿り着きましたが、結論はお互い納得してのED9となりました。 間違いなく「二人にとってのベストエンド」ではありますが、シナリオ側はいったい何を想定してこういったストーリーラインを組んだのか甚だ疑問でした。おそらくは人魚の童話じみた美しい二人の「うちよそ」を主軸にしていたのでしょうが、せめてAPPの指定は消しておいた方が、クトゥルフ神話的にも、探索者のコンプレックス的にも、望まぬ誘導を排除できたのではないかと感じました。数多くのシナリオで「うちよそ」は経験してきたはずでしたが、こういった感想を抱いたのは初めてでした。
※当ページは、投稿されたレビューの内容にもとづいて作成しています。
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