詳細なネタバレを含む可能性があります
- 2024/03/06 18:43:23 【総評】リアリティとフィクションのバランスが非常に取れたシナリオ。各HOの得意なこと・やれることが明確で、警察探索者としてやりたかったことの大半ができる。また、3つの大きな軸が絡んで進行するサンドボックス型シティシナリオであるため、この形式に慣れないKP/PLにはやや難易度が高いが、シナリオ内の解説が丁寧なので、挑戦してみるのもよいだろう。 【面白かった点】 ■リアリティラインが比較的高く、フィクションのレベルも適切で、現実と比較したギャップによるストーリーの没入感を妨げにくい。ドラマティックなシーンも随所にあり、刑事ドラマ的な楽しみ方も可能。 ■捜査内容によってポイントが溜まり、権限が解放されていくギミックがおもしろく、探索のモチベーションにつながる。 ■警察組織や捜査レーティングなどの縛りはあるものの、比較的自由度が高く、得た情報から状況を整理し、さらに捜査を進めていくとやがて点が線になり面になり…というカタルシスが味わえる。 ■秘匿HO制ではあるが、それぞれの秘匿が納得のいくものであり、また前述した3つの軸にそれぞれ大きく絡む内容であるため、いわゆる「虚無HO」が発生しにくい。ただし、HO1とHO3については、やや注意が必要(後述)。 【注意が必要な点】 ■事前情報の時点で情報量が非常に多く、文章量や専門性という点で同じレベルの情報がセッション中に頻発する。スピードについていけないPLも想定されるため、KPはPLにあわせて適切な要約をするなどして、理解を助けるとよい。 ■HO1について:シンプルな秘匿であるぶん、その内容からやや鬱屈をためやすい傾向にある。立場上班長格ではあるものの、秘匿内容からHO3に対応を譲ることも想定されるため、PLによってはNPCからの声かけをまめに行うなどのフォローをするとよい。 ■HO3について:カンのいいPLであれば秘匿内容から察することができるかもしれないが、イベントによって家族を凄惨な事件で失う可能性が非常に高い。シナリオの傾向上、無意識のうちにPLとPCの境遇を重ねあわせてしまうことがあるかもしれない。HO配布の際に家族構成および配偶者・子供の有無、最近亡くなった家族がいないか等、追加でヒアリングをおこなうのが望ましい。 ■途中で違法捜査を行うようNPCから要請される箇所があるが、PLが強い難色を示したり深く悩んだりすようであれば、KPから「捜査が後手に回るリスクはあるが、警察倫理に鑑みて行わないことを貫いてもよい」とフォローするとよい。 ■展開とPLの傾向によっては、口論や思想の対立というレベルではなく、最終的に敵味方に分かれることがおこりうる。この点をはじめにPLに周知しておくほうが、PVPレベルの認識を統一できるだろう。そのうえで、KPはPL/PCの選択を尊重し、過剰な誘導を行わないのが望ましいだろう。
- 2024/03/10 20:07:47 プレイヤーとして参加したが、まず事前資料の時点で非常に回りくどく読みづらかった。不必要に難しい言葉を使用したり、冗長に書かれているため内容を把握するのに時間がかかる。 プレイの際は良くも悪くも特徴の薄い、公式シナリオと同人シナリオの中間のようなもの。警察に関してはよく調べているのか、その点は良かったと思う。他の警察シナリオにある特殊設定や「そんなことしないだろう」というのはなかったので、そこはリアルさを感じた。 通過後にKPしてと言われたので購入して本文を読んだが、あまりの読みづらさに読むのを諦めてしまった。レイアウトはWordに流し込んだだけの雑なもので、それが淡々と続いているので可読性が非常に悪い。行間もデフォルト設定なのか、広く読みづらい。(※作者の誹謗中傷にあたる可能性があたるため、運営削除)読みづらい文章になってしまっている。少なくともこのPDFを渡されてKPするのは無理では?
- 2024/03/15 10:30:53 【全体感想】先のコメントにもありますが、リアリティとフィクションのバランスがとてもよく、刑事シナリオとしてやりたいことのゲームへの落とし込みがうまいシナリオです。HOで役割が明確に分かれているため見せ場がかぶることもなく、ディスカッションもしやすい作りになっているため、セッションが盛り上がりました。センシティブな内容を取り扱っていることもあり、初対面同士よりは、よく見知ったゲームグループで雑談を交えながら進めるのが適しているシナリオかと思います。 【よかった点】自由度の高い捜査と刑事ドラマ的な見せ場、3つの事件が交差する骨太なストーリーラインといった要素がうまく噛み合って、適度な塩梅での没入感を得られるシナリオです。刑事/警察組織のリアリティラインが高く、プレイヤーとして違和感のある展開は無いように感じます(プレイヤーが違和を感じる内容はキャラクターとしても同一の認識である)。シナリオ背景やNPCの行動方針が明確であり、プレイヤーの選択に対応できない状況が生まれづらいのもよかったです。また、配布される情報に硬い文章が多いという旨のコメントが先にありましたが、個人的には別解釈の余地のなく厳密性が高い情報であるとポジティブに捉えました。また部屋素材がついているので音楽をつければすぐにでも回せます(シナリオをすぐに読んでまとめられるとは限りませんが……)。 【気になった点】レイアウトは少し読みづらさがあります。docxファイルも付属しているため、文字組みを自分で変更することは出来ますが手間は掛かります。ただ、どのみちKPをする際は全ての情報を自分でまとめ直したほうがスムーズになるので、その手間を惜しむKPには不向きかも知れません。/ 硬い文章が多いため、事前情報を配布した段階で「この粒度の情報がたくさん出てくるよ」というアナウンスはしたほうが良いかと思います。普段から新聞や論文に親しんでいる人であれば比較的読みやすい文章かとは思いますが、そこをスノッブに感じる層はいるかも知れません。
- 2024/03/17 22:40:54 PLとしてプレイ→購入→KP予定。全体的にレベルが高く、纏まりの良い良質なシナリオといった印象をうけた。刑事シナリオにありがちな、客観的に見てありえない行動や選択を取らされたり、情報が不十分なままシーンが進行するようなことはない。リアリティの高いしっかりしたシナリオが遊びたい人は、とりあえずプレイして間違いはないとおもう。 【文章の内容や表現】 ボリュームがあり内容もやや難しいが、意味や言葉の定義が明確で、文章として読みやすい。 一つ一つの情報に含まれる文章量は多く、プレイヤーの読解力や文章理解の能力は多少問われるかもしれない。 普段からまとまった活字を読み慣れていない場合、言い回しが堅苦しいと感じる人もいるとは思う(全編を通して「だ・である調」)。 活字慣れが必要な点では人を選ぶかもしれない。 【レイアウト】 段組みやDTPなどは意識されていない印象があり、評価は人によってわかれる印象があった。 論文やレポートのようなレイアウトで(脚注などが付いている)、エモシやうちよそシナリオなどにみられる、デザイン性に振ったDTPではないので注意。 WordとPDFがあり、前者は編集ができるので気に入らなければ編集すればよいのもありがたい(手間ではあるけれど)。 シナリオ内容に重量があり、頭から読みながら回せるようなシナリオではないため、個人的にはその手間は問題ない印象だ。 【傾向】 Why→Becauseがしっかりとしており、話の流れに違和感はほとんどない。突っ込みたくなるような展開や安いシーンもなく、全体的にシリアスなトーンで進んでいく王道の刑事シナリオだ。 数少ない、「秘匿に意味がある」シナリオであり、シナリオの世界がしっかりと作られているため、「作者に選ばさせられている」感がないのが遊んでいて新鮮だった。 秘匿とクラシックは相性が悪いと思っていたが、それを高いレベルで両立しているのが好印象だ。 一度は遊んでおく価値があるシナリオだとおもう。 Boothの販売ページにある通り、現実の問題や思想を取り扱っているため、地雷チェックは十分に行った方がよい。 取り扱い方には理由がしっかりとあり、売りにする要素として雑に組み込んだものではないが、リアリティがあるため慎重になってよいだろう。 【おすすめPL・KP】 すでにある秘匿シナリオや刑事シナリオを物足りなく感じていたり、同人シナリオのドラマティックさと公式シナリオの質の良さを両方楽しみたいようなPLにおすすめ。 まとまった文章を読むのが苦手だったり、考察が苦手なPLは、きっと苦痛の方が多いのですすめられない。 遊びであっても真剣に挑みたいPLは楽しめるだろうが、ふわっと遊びたいPLには向いていないだろう。 合わないPLは多分事前情報の時点ではじかれるので、事前情報の時点で「小難しいから合わない」と感じたら控えた方がよい。逆に「難しそうだがおもしろそう」と感じたらプレイしてみてよい。 KP向けの情報が多く、指針の提示も丁寧なので、平均的な理解力があれば問題なくKPできる。 ただし、公式シナリオのように淡々と書かれているため、KPにある程度の能力が求められるのは確かだ。単に文章を読むだけではなく、探索者の行動に応じて処理をおこなったり、ある程度の描写を補うくらいはサッとできないと回せないだろうと感じた。 最近の同人シナリオに慣れているとかなり難しく感じるのは間違いない。公式のシティシナリオ(紅文字やガスライトサプリのシナリオなど)が回せる程度に成長してから挑んだ方がよいとおもう。
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